口臭や歯の黄ばみなど、歯科医院に行くほどではないけれど、口内トラブルが気になる…。虫歯や歯周病にならないように、日頃の歯磨きで予防がしたい!
そんなふうに考えて歯磨き粉を選んでいる人は多いでしょう。
ドラッグストアでおなじみのものから通販サイトで売られている専門的なものまで、歯磨き粉は多種多様な製品が売られています。本当に効果がある歯磨き粉がどれか分からず、悩んでしまう人も多いはず。
そこで、今回は代表的な4つの口内トラブルごとにおすすめの歯磨き粉をご紹介します。

目次
口内の4大トラブルとは?
まずは、多くの人が感じている口内トラブルを4つご説明します。

口臭
口内トラブルとして最も代表的なのが”口臭”。
口臭は、ニンニクなど香りの強い食べ物を食べたときや、お酒を飲んだとき、たばこを吸ったときに強くなります。しかし、原因はそれだけではありません。
人間はストレスを受けたときや空腹時、緊張時などに口臭が強くなります。また、女性はホルモンバランスの変化によっても口臭が強くなる場合があります。
こういった口臭は時間と共に解消されるため、特別な対策は通常いりません。ただし、口臭ケアに役立つ歯磨き粉で食後や飲酒喫煙後に歯磨きをすれば、時間が経つのを待たずに口臭を改善できます。
注意したいのは、歯垢や歯石、舌の汚れなどが原因で起こる口臭。歯や舌の汚れが原因の口臭は時間の経過で改善されず、歯垢や歯石は虫歯や歯周病の原因にもなります。
歯垢や歯石などが原因の口臭を防ぐためには、日頃から洗浄力のある歯磨き粉で歯を丁寧に磨き、歯垢や歯石をためないことが大切なのです。
虫歯
虫歯ができる原因は、口内で”脱灰”と”再石灰化”のバランスが崩れることにあります。
脱灰とは、口内にいる細菌が、食べたものから糖分を取り込む際に酸を出すこと。再石灰化とは、脱灰した歯を修復する唾液の働きを指します。
再石灰化がうまく行われないと、口内では脱灰ばかりが進んでしまいます。脱灰によって酸が出ると、その酸で歯が溶かされて虫歯になるのです。

歯の黄ばみ
私たちの歯は何層かに分かれた構造になっており、最も外側にはエナメル質と呼ばれる層があります。多くの人が悩んでいる歯の黄ばみは、このエナメル質が着色されることで起こります。
エナメル層の膜と結びつき、着色汚れとなって歯に付着しやすいのは、たばこやお茶類、チョコレート、赤ワイン、カレーなどの色素。これらをとってから歯磨きをせずに放置すると、歯に着色汚れが残り、エナメル質の膜と結びつくのです。歯に着色汚れをつけないためには、食後はきちんと歯を磨きましょう。
また、脱灰によっても歯の黄ばみは起こります。脱灰による着色汚れは、実際には歯の色は変わっていないものの、光の加減で歯が黄ばんで見えることがほとんどです。
脱灰が起こると、歯からミネラル成分が解け出し、歯の表面にわずかなでこぼこができます。そのでこぼこに光が乱反射すると、歯のツヤや輝きがなくなり、黄ばみが目立つのです。
歯周病
歯周病は主に歯茎の炎症です。歯周病が進行すると歯を支えている骨が溶けていき、最終的には歯を失います。歯周病は年齢に関係なく起こる病気で、永久歯がぐらついている場合は歯周病を疑いましょう。
歯周病の原因は歯の根元についた歯垢です。歯垢の中にはさまざまな細菌が存在しており、これらの細菌が歯茎に悪さをすることで歯茎の炎症を起こします。
また、歯垢は長期的に取り除かれないと歯石に変化します。歯垢は歯磨きで簡単に取れますが、歯石は除去が難しくなります。歯科医院などで時間をかけて削る必要があります。

お悩み別、歯磨き粉のおすすめ有効成分

口臭予防には”なた豆成分”
口臭予防に効く成分はいくつかありますが、おすすめは”なた豆成分”です。
なた豆は東南アジアが原産のマメ科の植物で、日本では福神漬けなどにも用いられています。なた豆には、カナバニンとコンカナバリンAというアミノ酸が含まれており、これらのアミノ酸には抗炎症作用があります。
カナバニンとコンカナバリンAには口臭を改善させる効果があり、これらの成分はなた豆以外には含まれていません。
また、”塩化セチルピリジニウム”という殺菌作用のある成分も口臭に有効的。塩化セチルピリジニウムは殺菌作用をもち、口臭だけでなく歯周病や虫歯など、歯垢の細菌によって引き起こされる口内トラブルにも効果を発揮します。
虫歯の予防には”フッ素”
虫歯予防のためには、フッ素入りの歯磨き粉がおすすめ。
フッ素には、歯の表面にあるエナメル質を強化する働きがあります。ほかにも、虫歯菌や虫歯菌が出す酵素の働きを抑制するとされており、歯の再石灰化を促進する効果もあります。
しかし、フッ素は一定以上の濃度でなければ効果を発揮しづらいとされています。歯磨き粉で虫歯予防を行うためには、より高濃度のフッ素が配合されている歯磨き粉を選ぶことがポイント。理想は1,450ppm以上、最低でも900ppm以上の歯磨き粉を選びましょう。
黄ばみ改善には”ポリリン酸ナトリウムとハイドロキシアパタイト”
歯の黄ばみを改善するには、ポリリン酸ナトリウムやハイドロキシアパタイトの成分が配合された歯磨き粉がおすすめです。
ポリリン酸ナトリウムには、歯の汚れを除去するとともに、表面をコーティングする働きがあります。そのため、新たな汚れの付着防止の効果も。
ハイドロキシアパタイトは、歯の表面についた傷を埋め、歯の代わりになる成分。ハイドロキシアパタイトが歯の傷を埋めると、表面に汚れがつきにくくなり、白い歯を保ちやすくなるのです。
さらに、ホワイトニング力を高めたいなら、研磨剤不使用の歯磨き粉を!
歯周病対策には”殺菌効果”
歯周病対策には、殺菌・抗炎症効果のある成分が必要です。
歯磨き粉に含まれている殺菌・抗炎症効果の高い成分といえば、塩化セチルピリジニウムや色プロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジンなど。歯磨き粉のパッケージに配合成分が記載されているので、これらの成分が配合されているかをチェックしましょう。
また、前述のなた豆成分や塩化セチルピリジニウムにも抗炎症作用があります。

知っておきたい”歯磨きの常識”
歯磨きは毎日の生活習慣です。しかし、歯磨きの正しい方法は意外と知られていないもの。

歯磨き粉は家族で使い回さない
歯ブラシやコップは家族で別々のものを使っていても、歯磨き粉は共有している家庭は多いでしょう。
実は、歯磨き粉を家族で使い回すと、家族間で虫歯菌がうつってしまう可能性があるのです。歯磨き粉を歯ブラシにつけるとき、歯磨き粉のチューブの縁が歯ブラシに触れるだけでも虫歯菌はうつります。
虫歯のリスクを減らすために、できれば歯磨き粉も別々のものを使うのが理想的です。
歯磨き粉の使いすぎに注意
メーカーによって多少の違いはありますが、歯磨き粉の適量はおおむね小豆一粒大程度です。広告などで歯磨き粉を歯ブラシの上にたっぷりとつけているシーンを見かけますが、実は使いすぎ。
歯磨き粉をつけすぎると、歯磨き中は口の中が泡でいっぱいになります。すると、まだ完全に歯を磨けていなくても、きちんと歯を磨いた気分になり、歯磨きを短時間で終了してしまいやすいのです。
また、研磨剤が配合されている歯磨き粉は、さらに注意が必要!研磨剤入りの歯磨き粉を多く使うと、必要以上に歯の表面のエナメル質を傷つけてしまうからです。
歯ブラシを水でぬらすのはNG
歯磨きの前に、歯ブラシを水でぬらしてから歯磨き粉をつけていませんか?
実はぬれた歯ブラシに歯磨き粉をつけると、フッ素などの有効成分が水で薄まってしまいます。その結果、有効成分の効果が減少し、虫歯や歯周病になる可能性があります。
歯磨き粉の有効成分をしっかり活かすためには、歯ブラシをぬらさずに歯磨き粉をつけましょう。また、歯磨きを終えたあとに何度も口をすすぐのも控えて。口の中に残った有効成分を洗い流しすぎないように、すすぎはなるべく少ない回数で済ませましょう。
歯磨き粉選びの3つのポイント

有効成分の濃度をチェック
「虫歯の予防には”フッ素”」の項目でも触れたとおり、一部の有効成分は濃度が大切です。製品に”有効成分配合”と記載されていても、配合されている量が少なければ効果があまり期待できないからです。
特に重要なのはフッ素の濃度。先に述べたとおり、1,450ppm以上の歯磨き粉を選びましょう。ちなみに、日本では薬用歯磨き剤のフッ素濃度は最大で1,500ppmまでに制限されています。国内で販売されている製品の最大値が必要ということですね。
一方で、高濃度=よい製品というわけでもありません。実は、フッ素濃度が高い歯磨きは、子どもにとってよくない影響もあります。
フッ素が高濃度の歯磨き粉を6歳未満の子どもが毎日使うと、”フッ素症”という病気のリスクが高まります。そのため、低年齢の子どもがいる家庭では、子どもには高濃度のフッ素歯磨き粉を使うのは控えたほうがよいでしょう。
研磨剤はときにトラブル原因にも
多くの歯磨き粉には研磨剤が配合されています。成分表示に記載されている”清掃剤”は、研磨剤のことです。
研磨剤は、歯に残った歯垢や着色汚れを除去する成分。歯をきれいにするためのものですが、配合量が多いと歯の表面を傷つける可能性があります。
研磨剤によって表面が傷ついてでこぼこになった歯は、より汚れが付着しやすくなり、歯の黄ばみや虫歯・口臭などさまざまな口内トラブルに繋がります。

発泡剤は必要?
歯磨き粉の配合成分のひとつ、発泡剤。その名のとおり、泡立ちをよくする成分です。歯磨き粉が泡立つと、口の中がさっぱりとしたり、すみずみまで歯磨き粉が行き渡りやすくなったりします。
しかし、歯磨き粉が泡立ちすぎると、よく磨いたような気持ちになり、実際には不十分な状態でも歯磨きを終えてしまいやすいのです。さらに、泡立ちがよいと何度も口をゆすぎがち。その結果、口内から有効成分が洗い流されてしまいます。
そのため、発泡剤入りの歯磨き粉を使うときは注意しましょう。最近は発泡剤フリーの歯磨き粉もあるので、使ってみるのもひとつの手ですよ。
美しい歯にするおすすめの歯磨き粉【口臭編】

なた豆ハミガキ
ブレーンコスモス/150g/1,296円(税込)

なた豆の成分を配合した、口臭対策用の歯磨き粉です。なた豆以外の成分もすべて天然由来成分となっており、安心して使えます。また、発泡剤も天然由来で泡立ちが少ないため、丁寧なブラッシングが可能。
”柿渋プラス””AG(銀イオン)プラス””ROSEプラス”の3種類が出ています。
薬用ピュオーラ 泡で出てくるハミガキ
花王/190ml/オープン価格(1,200円前後 ※編集部調べ)

殺菌成分の塩化セチルピリジニウムを配合している製品。泡で出てくる歯磨き粉を舌の上に直接のせ、10秒ほどくちゅくちゅと口全体に行き渡らせてから歯磨きを行います。研磨剤フリーの歯磨き粉です。
この歯磨き粉単体でも使うことができ、普段の歯磨き粉ペーストと併用して使うこともできるのが特徴です。
美しい歯にするおすすめの歯磨き粉【虫歯編】
コンクール ジェルコートF
ウエルテック/90g/1,000円(税別)

発泡剤・研磨剤フリーのジェルタイプの歯磨き粉です。フッ素のほか、殺菌剤や抗炎症剤も配合されているため、虫歯対策以外に歯周病対策としても効果的。
マイルドミント味で爽やかに仕上がるのに、口内に余分な刺激を与えません。虫歯予防のために本製品をすすめている歯科医院も多く、その効果はお墨付き!
チェックアップ スタンダード
ライオン歯科材/135g/550円(税別)

国内製品としては珍しく、フッ素濃度1,450ppmの歯磨き粉です。低研磨剤・低発泡剤処方で、歯磨き後は少量の水ですすぐだけで済むなど、安心して使えます。
美しい歯にするおすすめの歯磨き粉【黄ばみ・ホワイトニング編】
ルシェロ 歯磨きペースト ホワイト(歯科用)
GC/100g/1,796円(税別)

弱アルカリ性のペーストでステインを浮かし、Lime粒子で汚れを落とす歯磨き粉です。PEF400と呼ばれる薬用成分が配合されており、たばこのやにを溶かせるのが大きな特徴です。
ブリリアント モア(歯科用)
ライオン歯科材/90g/950円(税抜)

ピロリン酸ナトリウムが配合されており、イオンの力でステインを浮き上がらせるタイプの歯磨き粉です。フレッシュミント・アプリコットミント・シトラスミントの3つの香りが、食後の口内をリフレッシュ!
美しい歯にするおすすめの歯磨き粉【歯周病編】
コンクール リペリオ
ウエルテック/80g/1,200円(税別)

歯茎マッサージ剤としても使える、歯茎トラブルに特化した発泡剤フリーの歯磨き粉です。OIM加水分解コンキオリンという成分が、歯茎の細胞を活性化、血行を促進し、塩化ナトリウムが歯茎を引き締めます。
シュミテクト 歯周病ケア
グラクソ・スミスクライン/90g/オープン価格(500円前後 ※編集部調べ)

知覚過敏予防と共に、歯肉炎・歯周病を予防できる歯磨き粉。またフッ素濃度も1,450ppmと高濃度のため、虫歯予防にもおすすめできる歯磨き粉です。
自分に合った歯磨き粉で美しい歯に!
今回は、口臭・虫歯・黄ばみ・歯周病の4つの口内トラブルに対応したおすすめの歯磨き粉をご紹介しました。気になる歯磨き粉や、自分の口内トラブルに対応できそうな歯磨き粉は見つかりましたか?
歯磨き粉を効果的に使うためには、
・研磨剤や発泡剤の配合は最低限のものを選ぶ
・フッ素入りの歯磨き粉の場合は濃度をチェックする
など、歯磨き粉選びの時点でいくつかポイントを押さえておくことが重要です。
また、歯磨きの際は 、
・歯磨き粉は適量を使う
・磨く前は歯ブラシを水でぬらさない
・最後のすすぎは最小限にする
などを行って、より効果的に磨けば、美しい歯をキープできますよ。
さまざまな歯磨き粉の中でどれを選べばいいのか分からない! という人はぜひ、ここでご紹介した歯磨き粉を試してみてくださいね。
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